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ケアマネ向け|訪問看護の別表7・別表8を完全解説【医療保険・介護保険の使い分け】


――医療保険との関係と、ケアプランへの落とし込み方――
訪問看護の相談を受けていると、こんな場面はありませんか?
- 「この方、難病なんだけど医療保険?介護保険?」
- 「特別訪問看護指示書が出たって言われたけど、別表7とか8とかよく分からない」
- 「回数制限の例外って、誰がどう判断するの?」
そのカギを握っているのが、「別表7(疾病)」と「別表8(状態)」です。
このコラムは、仙台市で訪問看護・居宅介護支援を行う
うちケア訪問看護リハビリステーション/うちケアケアプランセンターが、ケアマネさん向けにまとめたものです。
👉 私たちについて
この記事では、
- 別表7・別表8とは何か
- 具体的にどんな病気・状態が入っているのか(一覧)
- それが訪問回数・医療保険適用・加算にどう効いてくるか
を、ケアマネ目線で整理します。
1.別表7と別表8とは?ざっくりイメージ
別表7 = 「特に医療ニーズの高い“病名リスト”」
厚生労働大臣が指定した、「この病気・状態なら、通常より手厚い訪問看護が必要」とみなされる疾病の一覧です。ewellibow.jp+1
別表7に該当すると、要介護認定があっても医療保険による訪問看護が優先され、次のような特例が使えます。ewellibow.jp
- 介護保険利用者でも医療保険で訪問看護が可能
- 週3日まで → 週4日以上の訪問もOK
- 1日に複数回の訪問(難病等複数回訪問加算)
- 最大3か所の訪問看護ステーションからの訪問
- 複数名訪問、退院当日訪問、外泊時訪問 など
別表8 = 「特別な医療管理を要する“状態リスト”」
こちらは病名ではなく、在宅で特別な医療処置・管理が必要な状態をまとめたものです。ewellibow.jp+1
別表8に該当すると、
- 長時間の訪問
- 1日複数回の訪問
- 週4回以上の訪問
- 複数名による訪問
など、時間・回数の制限を超えた訪問看護を評価する加算が取りやすくなります。ewellibow.jp+1
2.別表7の疾病一覧
▶ 別表7に含まれる主な疾病・状態
厚労省告示・解説資料などをもとにまとめると、別表7の対象は次の20疾病・状態です。ewellibow.jp+1
A:がん・難病などの全身性疾患
- 末期の悪性腫瘍
→ 医学的に回復の見込みがなく、進行期と判断されるがん - 多発性硬化症(MS)
- 重症筋無力症
- スモン(キノホルム薬害に伴う神経障害)
- 筋萎縮性側索硬化症(ALS)
- 進行性筋ジストロフィー症
- プリオン病
- 亜急性硬化性全脳炎(SSPE)
- ライソゾーム病
- 副腎白質ジストロフィー
B:進行性神経難病
- 脊髄小脳変性症
- ハンチントン病
- パーキンソン病関連疾患
(進行性核上性麻痺・大脳皮質基底核変性症・重症パーキンソン病 等) - 多系統萎縮症
(線条体黒質変性症・オリーブ橋小脳萎縮症・シャイ・ドレーガー症候群 など) - 脊髄性筋萎縮症
- 球脊髄性筋萎縮症
- 慢性炎症性脱髄性多発神経炎
C:免疫・損傷・人工呼吸など
- 後天性免疫不全症候群(AIDS)
- 頸髄損傷
- 人工呼吸器を使用している状態
✔ ポイント
- 「難病=別表7」ではない(難病医療費助成の対象は300疾患以上、別表7は20疾患程度)ewellibow.jp+1
- 「難病受給者証があるから医療保険訪看」とは限らず、別表7に入っているかどうかが決め手
3.別表8の状態一覧
別表8は、「特掲診療料の施設基準等別表第八に掲げる状態等」として定義されており、実務上は5つのグループに分けて考えると分かりやすいです。sumire-houmonkaigo.jp+1
3−1.① がん・気管切開などの高度な指導管理を要する状態
在宅で、以下のような高度な指導管理を受けている/必要としている状態:
- 在宅悪性腫瘍等患者指導管理
- 在宅麻薬等注射指導管理(持続皮下注など)
- 在宅腫瘍化学療法注射指導管理
- 在宅強心剤持続投与指導管理
- 在宅気管切開患者指導管理
- 気管カニューレを使用している状態
- 留置カテーテル(膀胱カテーテル、胃ろう・経鼻など)を使用している状態 合同会社 SoGreen+1
3−2.② 在宅医療機器・治療を継続している状態
在宅で高度な医療機器やルートを継続利用しているケース:
- 在宅自己腹膜灌流(CAPD)指導管理
- 在宅血液透析指導管理
- 在宅酸素療法指導管理
- 在宅中心静脈栄養(IVH・ポート)指導管理
- 在宅成分栄養経管栄養法指導管理(胃ろう・経鼻など)
- 在宅自己導尿指導管理
- 在宅人工呼吸指導管理(人工呼吸器)
- 在宅持続陽圧呼吸療法(CPAP 等)指導管理
- 在宅自己疼痛管理指導管理(PCAポンプ等)
- 在宅肺高血圧症患者指導管理 sumire-houmonkaigo.jp+1
3−3.③ 人工肛門・人工膀胱を造設している状態
- ストーマ(人工肛門)
- 尿路変向(人工膀胱)
といった、排泄ルートを外科的に造設している状態。
皮膚トラブル・装具交換・セルフケア指導など、訪問看護の関与が必要になりやすい領域です。訪問看護のソフト(システム)・電子カルテはカイポケ訪問看護+1
3−4.④ 真皮を越える褥瘡がある状態
- DESIGN-R®でd2以上など、「真皮を超えて皮下組織以深まで至る褥瘡」をイメージしてください。ewellibow.jp+1
深さ不明でも「真皮を越える」と判断されるケースも含まれます。
ポジショニング・創部評価・ドレッシング材選択など、専門的ケアが前提の状態です。
3−5.⑤ 在宅患者訪問点滴注射管理指導料を算定している状態
- 在宅患者訪問点滴注射管理指導料を算定している利用者
つまり、在宅で点滴治療を継続しており、その管理・指導が必要な状態です。sumire-houmonkaigo.jp+1
4.別表7・別表8がケアマネ実務に与える“具体的な影響”
4−1.医療保険か介護保険かの分かれ目
- 要介護認定ありでも、別表7の疾病に該当すれば医療保険訪問看護が優先
- 別表8のみ該当の場合は、
- 原則:介護保険優先
- ただし特別訪問看護指示書が出ている急性増悪の期間などは医療保険短期集中(14日間)…という運用があり得ます 厚生労働省+1
ケアマネとしては、
- 訪問看護指示書の保険種別(医療/介護)
- 別表7 or 別表8のどちらに該当しているか
- 特別訪問看護指示書の有無・期間
この3点を、訪問看護ステーションと共有しておくことが大事です。
4−2.回数・時間の“上限”が変わる
別表7・別表8に該当すると、次のような回数・時間の特例が使えるようになります。ewellibow.jp+2ewellibow.jp+2
- 週3回まで → 週4回以上の訪問が可能
- 1日1回まで → 1日複数回の訪問が可能
- 状態に応じて、通常より長時間の訪問が可能
- 複数名訪問の評価
- 2か所以上のステーションから訪問を受けることも可能(条件あり)
ケアマネの実務で意識したいこと
- 「この方、本来週3回では足りないのに我慢していないか?」
- 「褥瘡管理・IVH・人工呼吸など、明らかに別表8レベルなのに、通常枠だけで組んでいないか?」
5.ケアプランにどう落とし込む?3つの具体例
ケース1:ALS(筋萎縮性側索硬化症)+人工呼吸器
- 別表7:筋萎縮性側索硬化症 + 人工呼吸器使用 → 完全に該当ForYou+1
- 24時間の呼吸器管理・吸引・体位変換・コミュニケーション手段支援など、多職種連携が必須
ケアプランのポイント
- 医療保険訪問看護を“軸”に、ヘルパー・福祉用具・レスパイト(ショート)を組む
- 週4回以上+1日複数回も視野に入れ、「在宅で過ごす時間をどう支えるか」に集中
ケース2:在宅酸素+中心静脈栄養+褥瘡(真皮を越える)
- 病名自体は別表7にないが、
- 在宅酸素/中心静脈栄養 → 別表8②
- 真皮を越える褥瘡 → 別表8④ に該当 sumire-houmonkaigo.jp+1
ケアプランのポイント
- 基本は介護保険訪問看護だが、特別管理加算・長時間訪問・複数名訪問などを活用
- 夜間帯の急変リスクも踏まえ、訪問診療・救急搬送時の連絡フローを整理
ケース3:在宅がん末期(疼痛コントロール中)
- 病名としては 別表7「末期の悪性腫瘍」 に該当 ewellibow.jp+1
- さらに在宅麻薬等注射管理や自己疼痛管理を行っていれば、別表8①・②にも引っかかるケースが多いです。合同会社 SoGreen
ケアプランのポイント
- 医療保険訪問看護+訪問診療を軸に、
- 在宅ターミナル加算
- 緊急時訪問看護加算
- 長時間訪問看護加算
などで、「家で最期まで」という意思を支える設計に。
6.ケアマネとして「最低限ここだけ」は押さえておくと楽になる
- 別表7の20疾病は、一度は目でざっと眺めておく
- 神経難病・がん末期・頸髄損傷・AIDS・人工呼吸器 ―― こういうキーワードが出たら「別表7かも」と思うクセをつける。ewellibow.jp+1
- 別表8は「機器・ストーマ・深い褥瘡・在宅点滴」が4本柱
- O2・透析・IVH・人工呼吸器・ストーマ・真皮を越える褥瘡・在宅点滴…これらが揃っていたら、“特別管理が必要な状態”として訪看に相談。sumire-houmonkaigo.jp+1
- 迷ったら“病名・状態・在宅医療の有無”をそのまま訪看に投げる
- 「この方の別表7/8の該当有無を一緒に整理してほしい」とステーションに依頼すると、事業所側も請求・加算の整合性を取りやすくなります。ewellibow.jp+1
おわりに:別表7・8は「レアな人」だけの話ではない
在宅医療が当たり前になり、酸素・IVH・ストーマ・人工呼吸器をつけて生活する人は、今後ますます増えていきます。厚生労働省+1
別表7・別表8は、単なる請求ルールではなく、
「どのくらい医療的ケアが必要な人なのか」
「どこまで手厚い訪問を保険で支えられるのか」
を見える化した“重症度のものさし”です。
ケアマネとしてすべてを暗記する必要はありませんが、
- 「別表7=医療保険優先になる重い病気のリスト」
- 「別表8=機器・ストーマ・深い褥瘡・在宅点滴などの状態リスト」
この2つのイメージと、代表的な中身だけでも押さえておくと、退院支援や在宅導入の場面で圧倒的に楽になります。

